ご家族の方が亡くなると、遺族の方は様々な諸手続きを進める事になりますが、もし、亡くなった方が年金を受け取っていた場合、どの様な手続きが必要となるのでしょうか。
相続手続きは一生の中で数回しか出合わないものですので、どの様な手続きが必要となるのか、何をしなければいけないのか等、分からない事も多く、不安を抱えているのではないかと思います。
ここでは、年金受給者の相続に関する、3つの代表的な手続きを解説していきますので、もし宜しければ、ご参考にしていただますと幸いです。
年金受給権者死亡届の提出
年金を受給していた方がご逝去された場合、遺族の方は年金事務所、もしくは年金相談センターに対し、年金受給権者死亡届を提出する必要がございます。
届出までの期限は受給していた年金の種類によって異なりますが、国民年金は死亡した日から14日以内、厚生年金と共済年金は死亡日から10日以内での届出が必要とされています。
- 例外として、日本年金機構に住民票コードを登録してあれば年金受給権者死亡届の提出は不要です。
期限がご逝去から間もないタイミングという事もあり、葬儀等の都合で手続きが漏れてしまう事もございますが、届出を忘れてしまうと死亡後も年金が支給され、還付手続き等が必要となってしまいますので、期限内に提出できるように手続きを行うことが望ましいです。
また、役所に対する死亡届の提出を行えば年金の支給が止まると勘違いされる方も多いですが、死亡届の提出だけでは年金の支給は止まりません。
上記の注意点を踏まえ、年金受給者の方がなくなった場合には、速やかに手続きを行うことをお勧めいたします。
未支給年金の請求
年金受給者の方がご逝去された場合、死亡時に生計を共にしていた遺族が請求を行うことで、「未支給年金」を受け取ることが可能です。
公的年金は2ヶ月に一度、前月から前々月の年金が支払われるシステムとなっており、ご逝去された方がいれば必ず未支給年金が発生いたしますが、請求を行わなければ未支給年金は支払われませんので、必ず手続きを行う必要がございます。
未支給年金に関する請求期限は、ご逝去されてから5年以内とされており、比較的長めに設定がされていますが、年金受給権者死亡届を提出するタイミングで一緒に手続きを行うことが望ましいです。請求を行わなければ、未支給分の年金を受け取れなくなってしまうため、後回しにせず、必ず手続きを行うようにしましょう。
遺族給付について
遺族給付とは、ご逝去された方の家族を支える為の制度です。給付を希望する場合には、遺族の方が請求を行う必要がありますので、受取条件等を以下にまとめさせて頂きます。
種類
- 遺族基礎年金・・・故人が生計を維持しており、故人の国民年金の未納額が一定額を超えていない場合に受け取れる。
- 遺族厚生年金・・・故人が厚生年金の加入者、若しくは受給者であり、故人が生計を維持していた場合に受け取れる。
- 寡婦年金・・・故人(夫)が第1号被保険者として保険料を納付した期間と免除期間の合計が10年以上であり、故人が年金を受給することなく他界し、且つ故人と10年以上婚姻関係にあり、生計を維持されていた場合に受け取れる。
※故人が老齢基礎年金、もしくは障害基礎年金の受給権者である場合や、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受給されている場合を除く。 - 死亡一時金・・・国民年金保険料を3年分以上納付した方が年金を受け取らずにご逝去した場合に受け取れる。
※遺族基礎年金を受け取る場合には、受け取ることは出来ません。
※寡婦年金を受け取れる場合、死亡一時金と寡婦年金のいずれかのみ受取が可能。
受給対象者
- 遺族基礎年金・・・18歳以下の子供がいる配偶者、もしくは18歳以下の子供(親がいないことが条件)
- 遺族厚生年金・・・故人によって生計を維持されていた、配偶者、子、父母、孫、祖父母(夫、父母又は祖父母は55歳以上、子又は孫は18歳以下)
- 寡婦年金・・・故人の配偶者(妻)
- 死亡一時金・・・故人と同一生計の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
上記の様に遺族給付は受取条件が複雑であり、ご自身が受取人として該当するのか、必ず確認を行う事が必要です。
まとめ
ここでは、年金受給者の相続に関する3つの代表的な手続きについて解説をさせて頂きましたが、如何でしたでしょうか。故人の年金に関する手続きは複雑であり、ご自身だけで進めることが難しいケースもございます。何かお困りのことが御座いましたら、まずは専門家までお問合せ下さいませ。