農地を信託する場合、他の財産を信託財産にする場合より、少々ハードルが高いといえます。
農地を信託する事例としては、将来的に農地の処分を考えているが、所有者が高齢により処分前に認知症などによって判断力が衰えてしまう可能性があるという場合に、信託を利用するケースがあります。
信託でははく、成年後見制度の契約で後見人に判断してもらうといった方法もありますが、後見人制度を利用する場合、後見人監督報酬が発生するといった理由から、信託にするという方も増えています。
農地を信託財産にする場合には、農業委員会の許可が必要です。許可を得るには、受託者が農業従事者であるという条件を満たしている必要があります。この条件だけでも満たしているケースが少ないので、農地の信託は難しいのです。
万が一農業委員会の許可がない状態での農地の信託については、農業委員会の許可を得るまでは効力がありません。
このように、農地の信託をすることは非常に難しい為、農地の信託をお考えの場合には、農業委員会の許可を必要としない、相続遺言に委ねる事を検討するのも一つの手です。
しかしながら農地の信託における条件をクリアできる受託者がいる場合には、農地を信託することは非常に有効な手段となります。