家族信託は、委託者と受益者が異なるのが一般的です。
家族信託において、贈与税が発生するケースについては上記のような”他益信託”になります。委託者と受益者が異なる信託を他益信託と言いますが、他益信託は財産権が実質的に委託者から受益者へと移りますので、贈与されたものとみなされ贈与税が発生します。
信託財産が不動産の場合
信託財産が不動産であった場合、受益者へと課税される贈与税の他にも課税されるものがあります。
不動産を信託する場合、不動産の所有権を変更する所有権移転登記及び所有権の信託の登記が必要になります。通常ですと売買や贈与によって不動産を取得した場合には不動産所得税や登録免許税が課税されますが、家族信託における所有権の移転(委託者から受託者への移転)では”実質的な所有権移転”ではない事から課税の対象ではありません。しかし、所有権の信託の登記に関しては土地、建物の0.4%(令和3年3月31日まで土地のみ0.3%)の登録免許税が課せられます。
他にも、不動産を譲渡した場合にかかる譲渡所得税についても、家族信託での形式的な譲渡では委託者には利益が発生しない為、譲渡所得税は課税されません。
家族信託において贈与税が発生するその他のケース
上記で説明をしたケースとは異なりますが、受益者が持っている受益権は債権の扱いとされます。
その為、受益者が第三者へと受益権を無償で提供した場合に、受益権の提供を受ける者に大して贈与税が課税されます。余談ですが、受益者が有償で第三者へと受益権の提供をした場合には、元々の受益者に対して譲渡所得税が課税される事になります。