相続が開始したものの、遺言執行者が適切に職務を執行しない・できない状態になることで、なかなか遺言執行が進まない、などといった問題が発生し、遺言執行者の解任を検討することがあるかもしれません。
遺言執行が遅れると、有価証券などの価格変動や不動産の所有権移転登記の遅れなど、相続人にとって様々な実害が生じてしまう恐れがあります。
遺言執行者を解任したい時にはどうすればよいのでしょうか。
関連ページ
どんな時に遺言執行者を解任できるのか
民法1019条1項により、「遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるとき」、相続人等の利害関係人は家庭裁判所に対して解任を申し立てることで、遺言執行者を解任できる場合があります。
具体的には下記のような事由があげられます。
遺言執行者がその任務を怠ったとき
民法では、遺言執行に対して「遺言執行者は就任後、直ちに任務を行わければならない」と規定しています。
遺言執行者が引き受けたもののなかなか任務にとりかからなかったり、任務に背く行為をするなど、適切に遺言執行を行わない場合には、これに該当し解任が認められる可能性があります。
その他正当な事由があるとき
遺言執行者の健康状態が著しく悪い、長期に渡り不在にしている、一部の相続人に加担したり相続財産を不正に使い込む等の場合には、遺言執行者を解任する「正当な事由」に該当し、解任が認められる可能性があります。
遺言執行者解任の手続き方法
申し立てができるのは、受遺者・相続人・相続債権者などの利害関係人とされており、相続開始地である亡くなった方(遺言者)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをします。
その際、下記の書類が必要となります。
- 申立書
- 遺言者の戸籍(除籍)謄本
- 遺言書の写し
- 遺言執行者の住民票または戸籍の附票(3カ月以内のもの)
- 申立人の戸籍謄本(申立人が親族の場合)
- 申立人の利害関係を証する資料(申立人が親族でない場合)
- 解任を必要とすることを示す資料
- 委任状(代理人による申立ての場合)
家庭裁判所は、上記の申立人が提出した証拠書類に加え、遺言執行者の陳述も聴取したうえで審査を行います。
解任すべき「正当な理由」があると判断された場合、遺言執行者解任の審判が確定し、その時点で遺言執行者は解任となります。
執行者解任後、誰が遺言執行をする?
遺言執行者を解任後の遺言執行は、次のような方法で進めます。
①新たな遺言執行者を裁判所に選任してもらう
遺言執行者が解任されると、遺言執行をする人がいなくなってしまいます。
相続人間では利害が対立し、相続手続きを進めるのが難しい場合は、家庭裁判所に「遺言執行者の選任の審判」を申立てし、新たな遺言執行者を選任してもらうことができます。
解任の審判を併せて選任の審判を申し立てを行うことで、円滑に遺言執行を進めることができます。
②相続人で手続きを行う
民法上、遺言書で「子どもの認知をするとき」と「相続人の廃除や廃除の取り消しをするとき」以外は遺言執行者を選任しなくても相続手続きを進めることが可能です。
遺言執行者を選任する必要がない場合は、新たに遺言執行者を選任せず、相続人自身で相続手続きを進めることもできます。
相続財産や相続人の調査、名義変更手続き、相続税手続き等、解任した遺言執行者の代わりに相続人で手続きを進めることになります。
まとめ
遺言執行者が「任務を怠ったとき」「その他正当な事由がある場合」など、円滑に遺言執行が行われないことがあるかもしれません。
その場合は、家庭裁判所に審判を申立て解任することを検討しましょう。解任の手続きには「解任を必要とすることを示す資料」が必要となり、その後の相続手続きの進め方についても考えなくてはなりません。
遺言執行者解任の判断と手続きについて不明なことやご不安がある際は、これまでに多くの相続・遺言書作成をサポートしてきた生前対策あんしん相談センターへ、まずはお気軽にご相談ください。
当センターでは些細なことでもご相談いただけるよう、初回無料相談を実施しております。相続・遺言書作成に関するお悩みやお困り事のある方は、ぜひ当センターまでお問い合わせください。
生前対策あんしん相談センターの遺言書に関する無料相談
当グループは、横浜、藤沢、渋谷に相談センターをおき、相続遺言生前対策において年間2,400件超の業務を担当しております。
相続手続きから、遺言書、成年後見、身元保証、生前の対策まで、幅広いご相談内容にご対応させて頂いております。豊富な実績を持つ専門家が担当いたしますので、まずはお気軽に生前対策あんしん相談センターまでお越し下さい。