遺言書は大きく分けて、「公正証書遺言」「自筆証書遺言(自己保管)」「自筆証書遺言(法務局保管)」「秘密証書遺言」の4種類に分けることが出来ます。
この中でも公正証書遺言は、作成時に公証人が関わることで内容に不備が出る事を防ぎ、改ざん・偽造の恐れもないことから、遺言者と相続人、それぞれの方々が最も安心することが出来る遺言書として、一番重要な機能を備えています。
ここでは公正証書遺言について、詳しくご説明をさせて頂きます。
公正証書遺言を遺した方が亡くなった。
その後の手続きは・・・
あらかじめ遺言者ご本人から遺言書を作ったことを聞いていた場合を除いて、公正証書遺言があるのかどうかや、その内容を相続人の方々が事前に知ることは出来ません。
よくある質問として、「遺言者が公正証書遺言を作成した時や、ご逝去されてしまった時に、公証役場から相続人に対し、遺言書についての通知があるのか」というものがありますが、公証役場が個別で通知を行う事は一切ありません。
その為、相続人の方々は自力で遺言書を見つける(公証役場での遺言書検索)か、遺言執行者からの通知を待つ必要があります。
公正証書遺言があった場合の相続手続きについては、自筆証書遺言があった場合の相続手続きと異なり、家庭裁判所での検認と呼ばれる手続きを行う必要がなく、手元にある公正証書遺言をそのままの状態で使用することが出来ます。
また、公正証書遺言がある場合、不動産の名義変更や預貯金の名義変更・解約等、各種相続手続きの場面で必要とされる書類を大幅に減らすことが出来るだけではなく、遺言執行者が指定されていた場合には、遺言執行者が単独で相続手続きを行うことも可能です。
遺された家族、そしてご自身の希望を書き残すためにも、公正証書遺言の作成をご検討いただければと思います。
公正証書遺言の内容を相続人に通知する場合
遺言者のご逝去後に、公正証書遺言があった事実や遺言書の内容について、相続人の方々に対し通知が行われる場合がございます。ここでは通知された理由として代表的な例を2つご紹介させて頂きます。
①公正証書遺言の中で、遺言執行者が指定されていた場合に、遺言執行者から相続人の方々に対し、通知が行われるケース。
遺言執行者とは、遺言書に記載された内容を実現するために手続きを行う方(人物・法人)を指し、これは遺言者が作成した遺言書の中でのみ、指定をすることができます。
遺言執行者は遺言書に記載された内容を実現するため、遺言者のご逝去後、相続人(法定相続人及び受遺者含む)に対して、遺言執行を行う旨、並びに遺言書の内容を開示する義務を負っておりますので、相続人の方々は遺言執行者からの通知によって、公正証書遺言書があった事実や遺言書の内容を知ることになります。
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②公正証書遺言の中で遺言執行者の指定がされていなかった場合に、家庭裁判所の手続きを経て、遺言執行者が選任され、選任された遺言執行者から通知が来るケース。
遺言書の中で遺言執行者が指定されていた場合との違いは、遺言執行者から相続人へ通知されるまでに、家庭裁判所での手続きが必要とされる事のほか、通知が来るまでにかかる時間が通常よりも長くなってしまう点です。
相続手続きをスムーズに進めるために、遺言執行者を指定するかと思いますが、相続手続きは専門性が必要とされる場面も多いため、ご不明点がある場合には専門家に相談すると良いでしょう。
公正証書遺言の内容を相続人に通知しない場合とそのリスク
公正証書遺言がある場合でも、相続人(法定相続人及び受遺者含む)に対し、遺言書の内容を通知しないケースもあります。
これは、相続人の全員が遺言書の内容を予め把握しており、内容についても争いが無く、事務的な通知を行わなくても良いと、相続人並びに遺言執行者の間で、内々での合意が取れている場合です。
遺言執行者は相続人に対し、遺言書の内容を通知する義務がありますが、この様な場合にあえて事務的な通知を出すと、相続人や遺言執行者にとって手間となってしまう為、通知を省略する形で手続きを進めるケースもあるのです。
ただし、相続人との間で合意が取れていたとしても、遺言執行者に課せられた義務が免除されるわけではありませんので、相続人から通知を行わなかったことについて、指摘を受けた場合、それは全て遺言執行者の責任になります。
また、通知を行わなかったことを問題視され、相続人から家庭裁判所に対し、遺言執行者解任の申立て(相続人全員からの合意が必要)をされた場合には、遺言執行者として不適切な行為であったと判断され、遺言執行者を解任されることもあります。
遺言執行者は遺言書の内容を実現するため、様々な権限が与えられていますが、それと同時に重大な責任も負っています。
まとめ
ここでは、主に公正証書遺言の内容が相続人に通知されるのかについて、ご説明をさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
まとめますと、遺言書の内容は、遺言書を作ったタイミング・ご逝去されてしまったタイミングで公証役場から通知が来るものではなく、遺言執行者が遺言者のご逝去後、遺言書の内容を実現するために通知を行った、その時に初めて分かるものになります。
相続人や遺言執行者が行わなければいけない相続の実務は専門性が高く、法律的な判断が必要とされることもありますので、ご不明な点等がある場合には生前対策あんしん相談センターの初回無料相談をぜひご活用ください。
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