遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言という大きく分けて2つの種類があります。
ここでは、これらがどういう遺言なのか、また遺言書作成にかかる費用がどれくらいなのかについてご説明いたします。
自筆証書遺言作成にかかる費用
自筆証書遺言は自分の手で用意した紙などに書いて作成をすればよいので、基本的にはお金がかからず、手軽につくることができます。
自筆証書遺言は、必ず本人が自分で書き上げる必要があります。代筆は認められていません。
自筆証書遺言のメリットとして
- 何度でも書き直せる
- 費用負担が少ない
- 自分で書くので気軽に作れる
- 遺言書の内容を秘密にしておくことができる
などがあります。
一方で、書き方を間違えると無効になってしまうという大きなデメリットもありますので、注意しなければなりません。
せっかく書いた遺言書が法律効果を持たないものになってしまったら大変です。
自筆証書遺言を作成する時にはルールに基づいた文言を書かなければならないので、相続の知識や遺言書の知識を持っておく必要があります。
また、遺言書の保管が心配という方もいらっしゃると思います。
そのような方は手数料(1件3900円)がかかりますが、法務局の遺言書保管制度を利用してみるとよいでしょう。
公正証書遺言作成にかかる費用
公正証書遺言は、公証役場にて公証人と証人2名の立会いのもと作成する遺言書です。
作成していく中で公証人が関わるので、法律効果は保証されます。
公的なものになりますので、偽造される心配もありませんし、作成した公正証書遺言は公証役場で一生保管されるので安心です。
しかしながら、自筆証書遺言に比べると費用はかかります。
費用につきましては以下で詳しく説明いたします。
公証役場でかかる費用
公正証書遺言を作成する費用は主に2つです。
- 公正証書作成手数料
公証人に支払う手数料で、5~10万円程度が一般的です。
財産の総額や遺産を受け取る方の人数、遺言書の枚数などによって手数料は変動します。
手数料は遺言書作成当日に公証役場に現金で支払いをします。 - 証人への日当、公証人の出張費用など
自宅など公証役場以外で作成する際には交通費や出張費、日当などがかかります。
専門家に遺言書作成を依頼するときの相場
公正証書遺言を作成する際には公証人に手数料を支払うことはご説明いたしました。
しかし、遺言書作成をスムーズにかつ細かいところまで相続や遺言書について相談したい場合には専門家に依頼するとよいでしょう。
この場合には行政書士や司法書士など依頼する専門家への費用もかかります。
だいだいの相場は行政書士や司法書士で5~10万程度です。相続財産の内容によっても変わります。
上記のように、公正証書遺言の作成では公証人に対して費用を支払いますが、より丁寧に遺産相続の内容について相談をしたい場合には行政書士や司法書士などの専門家に依頼することをおすすめいたします。
必要になる費用については、それぞれの専門家によって異なります。
弁護士の場合は、着手金と成功報酬に分けて費用の請求をすることが多いです。
着手金の相場は10万円~30万円程度で、成功報酬は遺産の金額や事務手続きの煩雑さによって数十万円~100万円単位になることもあります。
一方、財産の総額によっても変わりますが、司法書士、行政書士の費用の相場は5~10万円程です。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて
最後に自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて以下にまとめましたのでご覧ください。
自筆証書遺言
作成方法:財産目録を除いてすべて自筆で作成する。(代筆はNG)
保管方法:自宅で保管する。法務局での保管する方法もあり。
相続開始後の手続き:
法務局で保管→相続人は法務局で遺言の内容を確認でき、検認は不要。
自宅で保管→検認が必要で、すぐに執行できない。
作成が手軽で簡単な一方で形式や文言によっては無効になる可能性もある。
公正証書遺言
作成方法:証人2人以上の立会のもと公証役場で作成。遺言者があらかじめ作成した文案を、公証人がチェックし遺言書として完成させる。
保管方法:公証役場で原本が保管される。正本や謄本は遺言作成者の手元に。
相続開始後の手続き:検認は不要。すぐに遺言を執行できる。
作成までに費用がかかるが、効果は保証される。
公正証書で作成する場合には、遺言作成後に内容の修正をするときにも別途費用がかかってしまいますので注意が必要です。
遺言書はご自身で作成することも出来ますが、万が一不備があった場合は無効になってしまいます。
遺言者にとっては最後の意思を残す大切なものになりますので、公正証書、自筆証書のメリット・デメリットの両方を検討した上で作成しましょう。
遺言書作成をするにあたり、心配事や悩みがある、また遺言についてもっと詳しく知りたいという方はまずは専門家に相談してみましょう。